1 東の方 降■世夜■明王
1 西の方 大威徳夜■明王
1 南の方 軍陀利夜■明王
1 北の方 大日大聖カンマン不動明王
1 東西南北天地中■ケツビヤリ夜■明王
トウジシメ■■ホトカズンバホトリベカラズ
■いんをむすぶ■し
調べてみると「ウンケンソハカ」は大日如来の真言の中にあるようだ。真言密教の中に「アビラウンケンソワカ」というのがある。しかし、文書をみるかぎりではアビラと書いてあるようには見えない。不動金縛りを引き起こす呪文とその解法の文書なのだろうが、字を解読できない。
解法
1 ■おむすぶの縄解てその後の■と
■■ぞかし■中シヤリヂヤウサク
不■■■■ウンケンソハカ
豊島靖国 (1998). 日本呪術全書 原書房によれば上記は密教系の呪術であり、五大明王法(五壇法)とみなせる。
東: 金剛手菩薩(こんごうしゅぼさつ)[阿?(あしゅく)如来、普賢菩薩、降三世明王)]
西: 金剛利菩薩(こんごうりぼさつ)[阿弥陀如来、文殊菩薩、大威徳明王]
南: 金剛宝菩薩(こんごうほうぼさつ)[宝生如来、虚空蔵菩薩、軍荼利明王]
北: 金剛薬叉菩薩(こんごうやしゃぼさつ [不空成就如来、摧一切魔菩薩、金剛薬叉明王]
中央: 金剛波羅蜜多菩薩(こんごうはらみつたぼさつ)[大日如来、転法輪菩薩、不動明王]
トウジシメ■■ホトカズンバホトリベカラズ
■印を結ぶべし
不動明王の印とは人差し指だけを伸ばしてつけて、親指を交差して組み、他の指は曲げた形。
解法
1 ■おむすぶの縄解てその後の■と
■■ぞかし■中シヤリヂヤウサク
不■■■■ウンケンソハカ
最後の「ソハカ(娑婆呵)」は大日如来に祈るときの呪文で成就の意味。豊島(1998)には不動明王秘密法として敵を呪縛する呪術の記述がある。また、修験道系の呪術として不動法と不動金縛法が解説されており、悪霊や生き霊、死霊、動物霊、怨敵を呪縛し調伏する門外不出のとされている。そこでは
「つなぎ留めたる津まかいの綱、行者解かずんば、とくべからず」という文句が出てくる(pp.144-147)。
「トウジシメ■■ホトカズンバホトリベカラズ」とは「とウジ(?)締め、行者解かずんば、解くべからず」とあったのかもしれない。
また、不動金縛りを解く解綱法も豊島(1998)には載せられている。相手が降伏した場合には解縛しないと後々障りがあるためとしている。そこでの呪術の言葉として「オン・アビラウンケン・ソワカ」があるので「不■■■■ウンケンソハカ」も「オン・アビラウンケン・ソワカ」の可能性が高い。